視察報告|ベトナム・ホーチミン市農業ハイテクパーク

令和元年11月27日、新潟市議会農政議員連盟の一員としてベトナムのホーチミン市農業ハイテクパークの視察に行ってまいりました。

ホーチミン市農業ハイテクパーク(Agricultural Hi-tech Park:AHTP)は、ベトナムの農業生産の効率化と付加価値、生産性の向上を目指し各種研究を行うためにホーチミン市が資金を投じて2004年に設立したホーチミン市の基幹研究組織の一つで、農業ハイテク分野の研究所としてはベトナム最大の研究・教育機関だそうです。

施設面積は88.17ha (内56haは投資企業用)。ハイテク農業の試験場としての取り組みについて

①野菜・花卉・観葉植物などの温室栽培・有機栽培

②キノコ栽培(食用・薬用)

以上2つの現場をご案内いただき話を伺いました。

また、現場を見せていただいた施設以外の研究等の取り組みとして、育種や販売技術に関する研修、農業者や学生への支援、野菜・果実に係るポストハーベスト技術開発、各種技術の移転拠点などの機能もハイテクパークの重要な機能であるとの説明がありました。

AHTPに参入し、農業へのハイテク技術適用企業として各地方の人民委員会より承認された企業は、法人税減免、輸入税減免、資金調達、土地取得に関する便宜などの点で優遇されるということで、現在は、39社が投資企業として延べ56haで実践中とのこと。

設立当初は10数社程度であった投資企業も現在では倍以上に増えており、ベトナム農産物に対する今後の将来性がうかがえました。

高付加価値・生産性の効率化と向上を支援する市営の施設に、民間企業の研究開発にも開放する方法は、今後の付加価値販売に向けて民間の力も借りる姿勢が出ており、特徴的でした。

ハイテク技術の一例として、イスラエルから導入した「自動で肥料や灌漑をコントロールするシステムハウス」をご案内いただき、実際にポンプを稼働させて灌水する様子を視察させていただきました。先進的な技術を導入した実験と言う説明ではありましたが、肥料濃度や水の量などの試験データは収集途中という事で、十分な成果を得るまでに至っていない作物もまだまだあるそうです。

AHTPは、これまでは研究開発や栽培技術の試験等が中心で、ICTの利活用は不十分でしたが、今後は関係機関と連携の上、積極的に関与していくこととし、新たなシステム技術も導入し、より一層の研究成果を目指すそうです。

また付加価値の高いキノコ栽培という事で24時間照明・空調管理された栽培室で「冬虫夏草」が栽培されていました。重労働でなく付加価値の高い農産物についても研究しているようです。