視察報告|福岡県那珂川市のコミュニティスクール・小規模特認校について

令和元年7月31日、新潟市議会・文教経済委員会の視察研修として、福岡県那珂川市を訪問。「コミュニティスクール」「小規模特認校」について、お話を伺ってきました。

コミュニティスクールについて

「コミュニティスクール」とは、学校と保護者や地域の皆さんがともに知恵を出し合い、学校運営に意見を反映させることで、一緒に協働しながら子供たちの豊かな成長を支え「地域とともにある学校づくり」を進める法律(地教行法第47条の6)に基づいた仕組みで、平成30年4月現在、全国でおよそ5,400校が取り組んできます。
那珂川市では、平成22年(当時は那珂川町)から一部小中学校で取り組みをスタート。平成26年には全小中学校に学校運営委員会が設置され、全国的にも先駆的な取り組みを行っています。
特徴的な取り組み(事業)としては、土曜寺子屋、なみなみの日(朝の挨拶運動)、ふるさと巡り、保護者やコミュニティスクール委員が主体となったホームページでの啓発や発信、地域のこども食堂との連携、郷土料理「かしわ餅」づくり、コミュニティスクール総会の実施など多岐にわたる事業を展開しています。
こうした取り組みを通して、地域行事に参加する児童生徒の増加、地域愛の醸成、不登校生徒の減少にも効果がでているそうです。
また、教職員の意識改革につながり、授業の改善がはかられているそうです。
家庭や地域から見た効果としては学校不信の減少、PTAの一人一役意識の高まり、学校と地域の距離感がなくなってきた、教育に対する地域や家庭の役割と責任意識の高揚がみられるそうです。
新潟市でもコミュニティスクールをモデル実施する方向で動いています。全国的には1割以上の学校ですでに実施されている制度で、一定の効果もみられることから、新潟市でも積極的に導入を進めるべきではないかと思います。

小規模特認校について

「小規模特認校」とは学校選択制の一種で、特定の学校について通学区域に関係なく市内のどこからでも就学を認め、生徒数の減少による複式学級化の解消や学校間格差やいじめなどの問題に対処するために設けられた制度の通称で、小規模であることの特性を活かした特色ある教育を進めている学校が数多く存在しています。
那珂川町(当時)は南部地域において人口減少が進み、複式学級になる見込みとなったことから「小規模特認校」の導入を検討し平成28年度から導入されました。
南部地域の南畑小学校小規模特認校制度では、南畑地域での学びと育ちに誇りを持ち、ふるさとを大切にする子供の育成を教育目標に掲げ、自然豊かな情操教育を実践、地域行事などへの参加により、地域交流が活発に行われ、少人数の良さを活かしたきめ細かな学習指導がおこなわれています。毎年、学区外から数名の入学希望者があり、実際の就学数も増えているとのこと。
また、教職員の意識が変化し、教育活動や内容を積極的に外部発信することで特色ある教育活動がさらに推進されているそうです。
新潟市は合併によって、いわゆる郡部が多数存在し、児童が100名に満たない小学校も多数存在しています。児童数の多い校区からどこの児童数の少ない校区を選択させるようにするのか、あるいは市内のどこからでも多数存在する小規模校を選択できるように設計するのか、課題は多く難しい部分もあります。
すでに新潟市合併から時間の経過とともに、学校の統廃合を進めてきたことから、新たに小規模特認校という制度を提案するのか、複式か、再度の統合なのか、当市、当地域に合った選択はどれなのか、結局は地域、校区民との十分な協議検討に委ねることになるでしょう。
メニューとして小規模特認校の制度も地域に紹介しながら、小規模校の存続に向けた方法の選択は地域との合議に委ねるべきものかもしれないと感じました。