東京都中央卸売豊洲市場関係者に新潟産農産物の販売動向を調査

令和元年7月26日~27日の2日間、新潟市の農業発展と農家の所得向上を目的に、東京都中央卸売豊洲市場関係者とお会いし、新潟産農産物の首都圏などにおける販売動向を調査しました。

お会いしたのは、豊洲市場仲卸業者の(株)西田の岡本社長と卸売業者の東京シティ青果(株)の斎藤役員・平田部長。

まず、お会いしたのは(株)西田の岡本社長。
「新潟県の販売戦略はなまぬるい」とバッサリ。「くろさき茶豆がGI登録されたことは素晴らしいことであるが、その後につながる次の手を考えていかなければ、他の産地に追い越される」と厳しい助言をいただきました。
(株)西田は仲卸として、個々の農家とも取引することで農家の手取り向上に貢献しています。規格外の生産物も受け入れ、農地の面積全体から上がる売り上げが大切と考えていらっしゃいます。生産物のキロ単価ではなく、10アールの面積からいくら売り上げを上げられるかが大切であるということで、規格外も商品として受け入れ、それなりの販売を行いながら農家の手取り向上に貢献していくというお考えだそうです。

次にお話を伺った東京シティ青果(株)でも、「新潟はトップセールスをふくめ他県と比べ、販売促進が弱い」とのアドバイスいただいきました。また、販売戦略として秋田の枝豆と群馬の天狗印枝豆について触れられました。
秋田は、連日大量の枝豆を市場に供給している。価格が下がろうとお構いなし、他の産地が価格下落により出荷を控えるように仕向けている。また天狗印枝豆は発泡スチロールに保冷剤を入れた出荷形態。徹底した品質管理で付加価値をつけて販売しているという例を挙げ、新潟は出荷量が平均化されておらず、産地としての信頼性に欠ける部分があるという厳しいご指摘をいただきました。

主として新潟が誇る枝豆、特に出荷が始まった「くろさき茶豆」について話をいただだきましたが、販売を担当する卸、仲卸ともまだまだ新潟産の青果物については販売努力が必要だという部分で一致したご指摘をいただきました。

視察を終えて

くろさき茶豆は出荷が始まって数日経過した時期での面談調査であり、出荷量もこれからという段階での評価ではあったものの、2社の方が例年の感覚として、上記のような印象を持っておられることは残念でした。
お盆まではとにかく売れる、どんどん市場にも出荷してくれという農産物だけに、今後の生産量の拡大が課題となっています。
生産者の高齢化と収穫から出荷調整に至る人材不足から、現状、これ以上の生産面積拡大は無理があるだけに、産地の関係者に問題を提起しても抜本的な解決策が浮かばない状況です。
ただ、畑からの収穫も大型機械ができており、北海道中札内ではすでに実用化されています。また、手間のかかる選別作業も他県の大産地では大型設備を導入し農家の負担軽減に寄与しているとのこと。
くろさき茶豆の産地は、収穫・選別のいずれも依然手作業に頼っていることから、一層の機械化しかも大規模な効率的設備導入を真剣に考える時ではないでしょうか。
今後農業関連の各機関にも、持続可能な産地を作るという目標も含めて関係者の議論を進めるよう促していきたいと思います。
新潟産の青果物全般については、今後も行政と生産者団体が一体となって販売促進に力を入れていかなくてはいけないし、他の産地に比べて出遅れている印象を強く意識づけされた視察でした。